私は先天性ミオパチーという、全身の筋力が徐々に低下していく難病を持っています。
5年ほど前から特に歩くスピードが遅くなり、何も障害物がない場所で、よくつまづくようになっていました。そのような状態で2年前に身体のバランスを崩し転倒して、左足大腿骨骨折をしました。その日以来、私は自分で立つことや歩くことができなくなり、オムツ生活を余儀なくすることになりました。
でも今はオムツをしていません。
私が どのようにしてオムツ生活から離脱できたのか、お話します。
- 病院での理学療法士とのトイレリハビリ
- 退院後のための家でのポータブルトイレのリハビリ
- まとめ
病院での理学療法士とのトイレリハビリ
足を骨折して手術をすると、二日間はみんな尿道カテーテルを挿入されてオムツをして、ベットでの安静状態をしなければいけません。
二日経過すると、筋力低下、寝たきり防止のために、看護師や助手に付き添ってもらって手を借りながら骨折をしていない方の片足だけで立ったり、座ったりしてトイレで用をたすようになります。
一般的にどの科の病院でも、入院患者は高齢者が多いです。中でも整形外科は、高齢女性が9割で、平均年齢が80歳代です。
だから70歳代の方が入院してくると「若いなぁ。」と言われる不思議な世界で、40歳代の私はどう見られているのかなと感じていました。
普通だったら私も手術して二日後にはトイレで用をたせて当たり前です。でも私にはそれができませんでした。
なぜ?
私には、ミオパチーによる体幹機能障害があり、二日間寝たきりだったために筋力が著しく低下して、上半身を腰と足で支えることができなかったからです。
そのためトイレに行くことができないためにオムツ生活を余儀なくすることになりました。
入院患者の中には、90歳を超えた方もみえました。その方も看護師や助手に付き添ってもらいながらトイレに行っていました。その姿を私は自分のベットから羨ましく眺めていました。
まだ40歳代なのに これからずっとオムツ生活になるのか?退院してから、まだ20歳の娘に自分のオムツ交換をさせたくない。
こんなことを考えるとすごく悔しくて、むなしくて、とうとう弱音をはいて担当の看護師の前で泣いてしまいました。
このことを担当の看護師は、理学療法士に伝えてくれました。
「今日から自分でトイレで用がたせるように、トイレリハビリをしよう。」
担当の理学療法士は、立たなくても車椅子から便座に移乗する方法を調べてくれて、毎日リハビリをする日々が続きました。
私もどのようにしたら下着やズボンが便座に引っかからずにあげることができるか、頭の中でシミュレーションをして考えました。
車椅子を便座の横につけて、お尻でいざりながら便座に移乗してズボンと下着をおろして用をたし、ズボンと下着をあげてお尻でいざって車椅子に戻る。
すべての工程を終了するのに、初めのうちは15分~20分かかっていました。ストップウオッチで計測しながらタイムを縮めて、10分でできるようになりました。
退院後のための家でのポータブルトイレのリハビリ
一般家庭のトイレは車椅子が十分入れるほどの広さはありません。住宅改修するほど金銭的余裕もありません。そこで考えたのが、ベットに横つけして、ベットからポータブルトイレにそのまま、床に下りずに移乗する方法です。
普通、ポータブルトイレはベットと並行の位置に設置するのが一般的です。しかし、私の場合は、ポータブルトイレはベットと垂直に設置して、ベットとポータブルトイレの高さを同じにしてあります。この方法だとベットから床に下りなくても、お尻で いざりながらベットからポータブルトイレに行くことができます。
コツは、必ずベットとポータブルトイレの高さを同じにすることです。たとえ2~3㎝高さが違うだけでも、お尻でいざりながら異なる高さを乗り越えるのは大変です。
今、私は賃貸アパートに住んでいるので、普通の下着をはいてポータブルトイレで用をたしています。だからオムツをはいていません。
まとめ
突然オムツ生活になることは、非常に悔しいし、情けない。
この問題に世代は関係ないと思います。
自分の意思がしっかりしているうちは、家族にオムツの介護はされたくない、させたくはないものです。この気持ちは、実際に一定期間経験した人しかわからないと思います。
だから、この記事を読んでくださった医療従事者、介護関係者には知っておいていただきたいです。患者さんに寄り添って、オムツ離脱法はないか一緒に考え、調べてあげて教えてあげてほしいです。そのときに、先に述べた多目的トイレやポータブルトイレのやり方を参考にしていただけたら幸いです。