障害者の体験談

体験談

患者からケアスタッフに伝えたい健常者が想像できない障害の痛み

2歳になる息子が大きな病気で寝たきり状態でした。息子は亡くなりましたが、その2年間、入院生活で感じたことはたくさんありました。入院生活におけるケアに関して、ルーティンや、型にはまった内容のケアが多く、前例がなければ受け入れられなかったり、個々に対応する環境ではなかったことに困りました。

患者が病院やケアスタッフに伝えるべきこと

医療や介護を受ける側からのコミュニケーションが重要な理由

例えば、薬を飲むのに時間がかかれば、チューブを通す、寝たきりで排尿が出来なければ、尿管チューブを通すなどの対応で悩みました。しかし、健常者の100分の1の血小板しかない息子は、止血が困難で、一度出血すると止められないという状態でした。にも関わらず、管理が必要だからとICUで尿カテーテルを入れられ、結果血尿が出始めました。

ICU管理なら通常の基本対応だったと思いますが、私の息子の状態を考えれば、8カ月の赤ちゃんにカテーテルを通し、尿管が傷つきボロボロにしただけのことです。紙おむつをはかせていましたので、紙おむつの重さで尿の出た量をはかることはできたはずです。

そんな経験があったので、寝たきり状態になったときに、医療やケアの提供に対して自分からどのように看護していきたいといった内容の希望を提案していき不明な点は複数の医師に確認するようになりました。

息子の状態を一番長時間見ていたのは、医師でも看護師でもなく母親の自分でした。

それを理由に、息子の状態をそれまで以上に少しの変化も逃さないように心掛けました。息子の治療で幾度となく対応に遅れ、その結果入院していたにもかかわらず、植物状態となってしまったので、病院も露骨に拒否はできず、対応をとるようにしてくれました。

そんな病院側も、入院当初は院内ルールを押し付け、管理、効率化をはかっていました。

マンパワーも限られています。夜間は特に人手が少なくなる中、看護する側もされる側も折り合える地点を探すことは大切です。

病院や介護施設の人手不足は問題の共有を妨げる

病院や介護施設の人手不足は患者一人一人に対するケアができなくなる原因になる

病院や介護施設でこういった問題は多いです。同じ介護であっても、在宅ケアでは家族がいる場合も多く、ほかの患者がいるわけでもないので、個々に対応しやすい事情がありますが、入院、入所となれば他の患者も多く、限られた人数で感染防止に努め、効率よく対応しようと思えば、必然とルールが多くなります。

ルールによって患者への対応にも制限をかける事が出来るのです。入院患者の人数に対し、看護や介護出来る人数が多ければ多いほど、対応に余裕ができるのは明らかです。

しかし、現実には日本全国の病院や介護施設では人手不足です

マンパワーが充実しない限り、問題は多発します。

大きい病院だから、有名だから、大学病院だからといった根拠のない安心感を持つのは危険です。

健常者には理解し難いからこそ相互コミュニケーションが重要

相互コミュニケーションが問題を未然に防ぐ鍵になる

病院や介護施設で人手不足が生じていたり、看護される側と看護する側の真のコミュニケーションがとれていなかったり、信頼関係がない場合に起こりやすい問題といえます。

患者が入院している、介護施設に入所しているという事は、通常の環境にありません。その時点で、病気以外にも、何らかのストレスや問題を抱えているという事情があります。

既にある、環境の変化に対してのストレス以上の負荷がかかれば、問題が起こりやすくなります。そういった事を介護する側が頭だけで理解するのには無理があります。

そこに溝があります。

私自身、息子が2歳になる前に脳出血を起こし、植物状態となるまでは、病気のある赤ちゃんの母親でした。息子が植物状態となり、障がい者申請をしたときに、息子は障がい者に、私は障がい者の母親となりました。

人は経験した事がなければ、痛みを本当の意味で理解することはできません。

ケアスタッフに一番に考えてもらいたいこと

ケアに関わる人に第一に考えて欲しいこと

入院した当初は病院側のルールを鵜呑みにしており、不満を伝えると、治療が不利になったり、看護師の気を悪くすると居づらいのではないかと気をもんでいました。

しかし、重要なことは患者を守ることです。

早くに息子のストレスを少しでも緩和できるように努めるべきであったと思います。早くに自分たちの問題を看護する側や医師に伝え、対応がなければ、さらに大きく声をあげるべきだったと思います。

介助する側に立つ人は、患者やその家族は問題の病気からくる不安を当たり前に持っていて、常に耐えている状態であるという前提を想像し、寄り添う姿勢が大切です。

個々の状態はさまざまです。前例のない病気や症状を持っている場合はなおさらです。前例がないという理由で尻込みしていては、大切なポイントが二の次になってしまします。

患者側から伝えることを聞いてほしい

患者側の痛みや悩みを受け入れることが解決に繋がる

まず、患者側は介護をしてもらっている側だからと消極的になりがちな方も多いと思います。ですが、「何が必要」で、「どんなケアを望んで」いて、「患者はどういった状態なのか」という事をしっかりと伝えるべきです。

看護・介護する側はその伝えられた内容に耳を貸すべきです。

医療者であるからとか、経験があるからだとか、プロフェッショナルであるからだとか言った経験が、患者の伝える内容をグループ化してしまい、何が患者に必要かというポイントを見えなくさせます。

100人いれば100の対応が出来る事が理想ですが、それではさすがに人手が足りません。ですが、常に自分の家族や大切な人を患者と置き換えると、どのように対応すべきかという事が見えてきます。

常に耳を傾け、何を求められているのかといったことと個々の状態とのバランスを患者側と相談できる環境であってほしいと思います。

-体験談
-, , ,

© 2020 介護のみらい