デイサービスでは、ほとんどの場合、提供時間以外の限られた時間の中で研修が行われています。
そんな中で研修の実施率や継続性を上げるためには、研修の準備や記録類の作成時間を短縮できる仕組みや工夫が必要となります。
ここでは、デイサービスの研修を継続的に行えるようにするポイントを紹介します。
目次
研修を失敗させないために
デイサービスには様々な利用者が居るため、全てが同じ方法で対応できるわけではありません。
研修を行うことによって、基本的な対応方法を学ぶことが必要ですが、その上で個人の努力や工夫も重要となります。
そのためにも職員が自らの意思で学ぶ姿勢を持つことができるように事業者もサポートしていく必要があります。
職員のレベルや状況に応じて適切な研修の形式をもって継続的に研修を行えるようにしていくことでどのような職員でも業務レベルが向上できるようになるはずです。
いつまでたっても能力が上がらない職員がいる場合、これらのうち、どこかが欠けていることが考えられますので一度見直しましょう。
職員研修においては職員のレベルや状況の応じて適切な研修の形式を選択する必要があります。
どのような職員でも一定の業務レベルに到達し、事業所全体のサービスが向上できるように目標を持って取り組みましょう。
また、研修を定期的に行っていくと、会社としての方向性や考え方、取り組みを職員と共有することに繋がります。
組織として統一感を出すためにも、定期的な研修を実施していくことをお勧めします。
研修をするためのポイント
デイサービスを運営していると、研修を行う時間を確保することが難しいのではないでしょうか。
これは、年間を通して実施する日を予め決めておくなど、スケジュールを決めることで実施率や継続性を上げることができます。
また、研修の準備や記録類の作成になるべく時間がかからないように仕組み化することができれば、高い実施率と継続性のある研修にすることができます。
デイサービスの研修には、1年間を通して行う定期的な継続研修と、入社時などに実施するスポット研修を盛り込む行ことをお勧めします。
やみくもに研修を行うのではなく、計画を立てて実行していくことで、目的と成果が明確になり身に付く研修にすることができるはずです。
研修の種類と研修実施の流れ
デイサービスでの研修には、大まかに5つほど準備しておくと良いでしょう。
予め準備しておきたい研修の種類は次の通りです。
- 入社時研修(入社時に実施)
- 1ヶ月経過研修(入職後約1ヶ月で実施)
- 定期研修(毎月実施)
- 異動時研修(異動時入職前などに実施)
- 昇格・降格時研修(昇格・降格発生時に実施)
初期教育、中長期教育、資質向上教育など幾つかの目的に応じた研修が必要です。
昇格・降格時研修では、次に繋がる様に意識や精神面についてのサポートの為の研修を行います。
特に、降格時の研修では仕事に対するモチベーションが低下しやすい状態をフォローし、もう一度元のポジションに戻る方法を一緒に考えられる様な仕組みがあると良いのではないでしょうか。
また、これらの研修を行うことによって、職員の資質向上だけでなく、継続勤務や離職防止にも効果があります。
次に、研修は設定したら確実に実施していかなければなりません。
そのために必要な研修実施の手順は次の通りです。
- 研修計画の周知
- 研修テーマについて資料作成
- 研修の実施
- 研修実施レポートの提出
- 研修内容の改善
研修の確認
研修を行ったことを確認できる手段が必要です。
これには、レポートの提出が良いでしょう。
ただし、あまりにも面倒で作成に時間がかかるレポートになってしまうと研修自体が大変なものになってしまいます。
研修は知識や技術などを学ぶ場であって、レポートを書くことが目的ではないことをしっかりと認識しておく必要があります。
研修は継続が重要
研修で最も重要なのは"継続"できることです。
研修の内容を出来るだけ実務的なものにすることで、業務のヒントになり継続性が高まります。
研修をする時間が取れない人が出てくることもあります。
一部の人に研修ができないまま放置されることがありますが、それでは意味がありません。
その対策として、意欲的に受講しているかどうかを職員の評価に積極的に反映させていきましょう。
デイサービスで必須の研修項目
ここでは、デイサービスで必須の研修項目を紹介します。
項目ごとにわけているので、事業所で研修を行う時に参考にしてください。
サービス向上項目
利用者に提供するサービス向上に関する項目です。
基本知識に加え、職員として最低限必要な法令やモラルについての研修をします。
- 認知症及び認知症ケアについて
- プライバシー保護について
- 倫理、法令遵守について
- 事故対応、リスク管理について
- 緊急時対応について
- 感染症、食中毒の予防と蔓延防止対策について
- 身体拘束、虐待防止について
- 非常災害時の対応について
- 介護予防、要介護度進行予防について
共通項目
主に、会社としての研修です。
会社で働く上で必要になる知識を研修します。
更に、会社方針や企業理念を含めることで、組織としての統率を高めることができます。
- 会社方針、事業所方針や理念について
- コンプライアンス及び個人情報の保護及び開示について
- 接遇について
- クレーム対応について
- 利用者同士のトラブル対応について
その他の項目
独自の研修です。
必要と考えられる項目を含めましょう。
- 介護保険について
- デイサービスの送迎について
- 介護技術、見守りの方法について
- 避難訓練の実施について
- 自己評価及び他者評価について
デイサービスでは、主に上記の内容の研修が必要となります。
これらの研修項目を盛り込みながら、1年間の研修スケジュールを立てるようにしていきます。
研修の形式について
研修実施にあたっては、研修の形式も重要です。
研修の形式は主に次の3つです。
- off-JT (off the job training) →現場外研修
- on-JT (on the job training) →現場研修
- SDS (self development system) →自発的研修
現場外研修
現場外研修は、現場を離れ研修のみを行うことができます。
集中的に研修を行うことができ、事例検討を行いながら落ち着いた環境で学習することができるので専門的な内容をしっかりと身につけることを目的としている場合に有効です。
現場外研修で学んだことは現場において生かすことができなければ意味がありません。
得た知識を業務に生かし行動に移すことができるようにフォローアップまで行うようにすることが大切です。
現場研修
現場研修は実際に利用者に対し、実践することで学ぶ形式です。
先輩や上司のやり方を説明を受けながら見様見真似で学びます。
介護現場は対人援助の場なので机上とは違い、利用者一人一人に合わせた臨機応変な対応が求められることが多くあります。
その為、実際に利用者に対する援助の方法を学ぶ手段として現場研修がとても有効です。
現場研修において重要なことは、研修指導担当者の選定と研修生の心構えです。
未経験の職員を利用者対応に当てることで想定外の事故やトラブルが発生することも考えられますので、研修指導者や対応する利用者について予めシミュレーションした上で研修を実施しましょう。
研修生側も、細心の注意を払いながら指導を素直に受け入れ、言われた通りそのまま行うことが第一歩となります。
ここで素直に取り組むことができず、身に付ける意思が感じられなければ指導者側も失望してしまいます。
研修指導者と受講者それぞれのポイント
デイサービス内で研修を行う時、指導者はどのようにして選びますか?
順番の担当制や、現場リーダーが指導することが多いかと思いますが、研修を指導する人を選ぶ時の注意点です。
次を参考にしてください。
指導者選びのポイント
- マイルールを押し付けていないか
- 間違ったことを教えないか
- 無理なく適切なペースでの指導ができているか
- 説明をしているか
次に、指導者が研修を受ける職員に対して研修を行うための手順です。
現場研修の手順
- 業務にあたる上での心構えを伝える
- 指導者が実際に業務を行いながら手本を示し、説明する
- 安全を確保しながら研修生に実際に対応させる
- 研修生の対応を評価し、修正箇所を説明する
- 何度か繰り返す
受講者の心構え
研修を受ける職員は、次のような心構えが必要です。
- 言われた通り素直に行ってみる
- 忘れないようにメモを取るなど覚えようとする姿勢を見せる
- わからないことはその場で解決できるようにする
- 研修の後は振り返りを行い、復習確認をすることで何度も同じことを聞かないようにする
自発的研修の受講を支援する仕組み
デイサービスの研修は施設で行うものだけではありません。
職員自身が自ら知識や技術を学ぼうとし、外部の研修やセミナーに参加したり、本や資料を元に自分で勉強することも大切です。
会社も職員のこういった姿勢をサポートできるように支援を行えるようにすることも必要となってきます。
自発的研修を支援する仕組み
- 経済的援助・・・受講費用や交通費、教材費用などの援助
- 時間的援助・・・外部研修受講時の勤務扱い、シフト調整の配慮、有給休暇の取得などの配慮
- 精神的援助・・・自発的に学ぶ姿勢をサポートするためのモチベーションサポート
職員が自ら学ぼうとしたことは、今後の業務に生かされるものであることが多く、学習の成果も他のものよりも良い結果であることが多いです。
したがって事業者も従業者のモチベーションを向上させていくことが利用者に対するサービスの向上につながる近道となりますので積極的にサポートしていけるようにしましょう。
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