処遇改善加算実績報告書の記入例

処遇改善加算実績報告書の記入例とマニュアル

処遇改善加算の実績報告書の作成担当者になれば面倒なことばかり。

会社の重要な情報を扱わなければならないけどそれをどうやってまとめればいいのかわからなくなることもありますよね。

この記事では、当時記した独自ノートを元に介護職員処遇改善加算実績報告書の作成方法と記入例を説明していきます。

この記事でわかること

  • 介護職員処遇改善加算実績報告書作成の問題点
  • 処遇改善加算実績報告書作成の流れ
  • 実績作成前に準備が必要なもの
  • 処遇改善加算実績報告書の記入例
  • 処遇改善加算実績報告書マニュアル

処遇改善加算実績報告書作成の問題点

実績報告書作成にあたってまず最初に言いたいのは保険者それぞれがローカルルールで管理しているのでとても面倒くさいです。

実際に作成する前には次の点は覚悟しておいたほうが良いかもしれません。

注意ポイント

  1. Wordで作成を求める保険者もあればExcelを求める保険者もある
  2. Excelスキルがバラバラ(マクロ使っている保険者もあれば、中学生レベルの保険者も)
  3. 必要書類がバラバラ
  4. 提出期限がバラバラ(7月31日消印有効or必着または、21日必着など)
  5. 「正しい」の基準がバラバラなので指摘事項がバラバラ(同じ内容でもOKな保険者とNGになる保険者がある)
  6. 実績送付先がわかりにくい保険者が多い

共通して言えるのは「明らかに使う側の目線で作られていない」「保険者の担当職員の知識能力に依存している」ということです。

複数の保険者に申請を行う事業所の担当は全国共通の介護保険のルールであるにもかかわらず正しさの基準までバラバラな保険者のお役所仕事にに呆れ返る日々になるかと思います。

介護事業の運営管理を担当する者の視点で言えば「実地指導も含めたいした知識のない公務員が本に書いてあることを見ながらズレた自己解釈も入れた独自ルールが生まれていくこと」が現状の介護保険事業の厄介なところです。

(この記事は2020年2月1日に分割し更新しました)

処遇改善加算実績報告書の記入例

ではここから本題の処遇改善加算実績報告書の作成方法について記載します。

まず最初に大まかな流れと予め準備しておく必要があるデータをリストアップしますね。

もし、知りたいことが処遇改善加算計画書の記入例や処遇改善加算の基礎についての場合は次の詳細記事をご確認ください。

一つの記事にすると長くなりすぎるので処遇改善加算の申請と実績報告について詳細ページを別々に用意しています。

それぞれの業務に必要な記事に進んでください。

では、処遇改善加算実績報告書の作成方法について説明していきます。

実績報告書作成の流れ

処遇改善加算の実績報告書を作成する手順は大まかにまとめると3ステップです。

簡単な流れ

  • 年度の介護職員処遇改善加算の報酬額をまとめる
  • 給与支払いデータをまとめる
  • 実績報告書に記載する

もし施設やエリア単位で行う場合などはデータを管轄している部署に必要なデータをもらわなければならないのですが介護事業の特殊性に理解が無ければなかなか貰えないこともあります。

事前準備が必要なもの

実績報告書を作るためには、次のようなデータが必要になってきます。

ほとんどの施設の場合、このデータを保有しているのは運営会社の人事または総務や管理部や経理部になると思います。

必要なモノ

  • 月ごとに所属施設と職種がわかる従業者名簿(シフトなど)
  • 施設ごとに実績を作成する年度の処遇改善加算報酬額(利用者負担分含む)
  • 月ごとの給与支払いデータ(項目別)
  • 施設データ(施設名、都道府県、保険者名)
  • 法定福利費の会社負担分金額データ
  • 各届出先保険者の情報(申請様式、提出先、提出期限、提出書類)の確認

データ管理に長けている法人であればこれらはすべてデータベース管理されているはずですので比較的容易にまとめることができるはずです。

ですが、中小以下の法人の場合データベースって何?ということが多々あります。

また、これらのデータを管理する部署の理解度が低いことも多く必要なデータが無いということも考えられます。

私が勤めていた法人は経営陣を含め介護事業の部署以外は介護事業に対する興味が全く無かったので催促してもこれらのデータを手に入れるまでに1か月程度かかるのが当たり前でした。

更に、個々のデータ作成スキルが低ければまとめ直す作業が必要になってきますので会社の理解度、担当する社員の技量などを踏まえて早めに請求しておくことが大切になってきます。

実績報告書の作成の手順

ここから、上記の実績報告書作成の流れに沿っていきます。

年度の処遇改善加算報酬額をまとめる

処遇改善加算のルールである『処遇改善加算報酬額を上回る給与改善が必要』に沿う必要があるので報酬額の総額をまとめます。

ここで考えなければならないポイントは、『報酬総額をどのように計算するか』です。

しかし、法人の入金管理方法によっては介護報酬と利用者負担分を別々に管理してしまっていることがあります。

介護報酬や利用者負担分の主な入金方法は次の通りです。

  1. 国保連→法人指定口座
  2. 利用者負担分→施設口座
  3. 利用者負担分→現金回収

この場合、入金額はまとめで入るので金額の内訳が不明です。

逆に、介護報酬の支払額を確認する主な手段は次の2つです。

必要なモノ

  • 介護報酬支払額決定通知書
  • 請求ソフトの請求明細書
  • 処遇改善加算報酬額年度一覧(一部の保険者による送付)

支払額決定通知書は不能や再請求でややこしくなっている場合があるので請求ソフトの明細が一番確実かと思います。

金額の集計に使う物は会社によって判断が異なるところでしょう。

保険者からすれば明細にある金額が全部ちゃんと回収できているかどうかなんてどうでもよく決定通知書の後追いは事業者次第です。

例えば保留などがあった場合は請求データをしっかりと修正していなければ誤った請求金額での実績報告書となってしまうことがあります。

保険者によっては年度の処遇改善加算報酬額を一覧にして送付してくることがありますのでそのまま採用するのがベストな選択です。

ここで最終的にまとめておきたい内容は次の通りです。

必要なまとめデータ

  • 保険者(市区町村や広域連合など)ごとに報酬額をまとめる
  • 都道府県ごとに報酬額をまとめる
  • 全国都道府県ごとに報酬額をまとめる

※保険者(市区町村や広域連合)の合計額が指定権者(都道府県)の合計額になり、指定権者(都道府県)の合計額が全国都道府県に反映できるように作成する。

給与支払いデータをまとめる

給与支払いデータをまとめるのは会社の規模や部署の関係性によってはとても大変なことかもしれません。

ここで必要になるのは処遇改善加算計画書で提出した給与改善期間の給与データです。

また、処遇改善加算は介護職員にしか支給できないので職種でまとめておく必要もあります。

必須データ

  1. 従業員氏名
  2. 所属施設
  3. 市区町村
  4. 都道府県
  5. サービス種類
  6. 職種
  7. 基本給
  8. 処遇改善手当
  9. 賞与

3及び4は、実績報告書を作成する時に市区町村、都道府県ごとに金額をまとめることを求められますので必要です。

職種は、処遇改善加算が介護職員のためのものであることから、決められた職種に給与改善として支給されているかを確かめる資料として必要になってきます。

基本給は、賃金改善前の給与を算出するために使用します。

『処遇改善加算が無ければ給与額はどの程度なのか』ということを実績で記載する必要があり、その際に基本給を『本来の給与』ということで届出ます。

処遇改善手当(または相当する手当)と賞与は、処遇改善加算報酬額を原資とした給与改善額とするのでまとめておく必要があります。

※保険者(市区町村や広域連合)の合計額が指定権者(都道府県)の合計額になり、指定権者(都道府県)の合計額が全国都道府県に反映できるように作成しましょう。

注意ポイント

処遇改善加算は支給できる職種が決まっているので職種ごとにしっかりと分類しておくことが大切です。

職種を間違えると本来支給してはいけない職員に支給されていること(逆もあり)になり不正とみなされます。

実績報告書を作成する事前準備としておそらくこの集計が最も時間のかかる部分です。

実績報告書の入力

実績報告書の入力の仕方についての説明です。

作成はデータ入力でも手書きでもOKですが基本的にワードで作成されている実績報告書書類は印刷して手書きで作成、Excelで作成されている実績報告書はExcelで作成すると早いと思います。

スマートな実績報告書の作成手順

『○○市 処遇改善加算 実績報告書』などと検索し、市区町村のHPから処遇改善加算実績報告書の様式をダウンロードする。

そして、1で作成した処遇改善加算の年度報酬額のまとめと2で作成した給与支給データを使います。

  • 保険者(市区町村や広域連合)のシートを入力する
  • 指定権者一覧(都道府県など)のシートを入力する
  • 全国一覧シートを入力する
  • 全国一覧シートの合計額が実績報告書の各合計金額になることを確認する

※様式5の場合、介護職員処遇改善加算額に処遇改善加算報酬額、賃金改善所要額に処遇改善手当や賞与などで支給した金額の合計額を入力します。

法定福利費会社負担分は個人給与ごとに算出していれば良いですが会社でまとめてしか計算出来ていない場合は人数で割るなどの方法で予め振り分けて計算しておいた方がスムーズに作成できます。

参考資料として、東京都の処遇改善加算実績報告書の様式を添付します。(関連資料:→東京都H30年度処遇改善加算実績報告書様式掲載サイト

実績報告書作成オリジナルマニュアル

処遇改善加算実績報告書の様式の説明シートです。

項目ごとに作成の説明メモを追記しておきました。

オリジナル説明付き処遇改善加算実績報告書マニュアル

今すぐ使う

※様式は参考例として東京都の様式5を使用していますがどこの保険者も記載内容はほぼ同じです

実績報告書作成の補足

実績報告書作成の補足説明です。

まず、大前提として、給与改善所要額は処遇改善加算額を1円以上上回る必要があります。

大きく上回る必要は無いのですが、『会社の自費で賃金改善を行いました』という実績にしておく必要があります。持ち出しの金額は極端な話、『1円』でも問題ありません。

様式の全国一覧の合計金額が次のようになっていることを確認してください。

式:『賃金改善所要額』-『介護職員処遇改善加算額』≧1

常勤換算数及び一人あたりの金額の入力を求められますが、これは処遇改善加算を実施したことによる改善の統計データを取るためのものです。

1人あたり○○円以上の改善が必要といったものではありません。

時々、「処遇改善加算の効果で介護職員一人あたりの給料が月額1万円あがりました。」などのニュースや記事がありますが、そういったもののデータのもとになるものと考えられます。

常勤換算数が正確ではなくても特に問題が無く確認で保険者に計算できない旨を伝えたところ、だいたいで良いというようなニュアンスの回答が来ます。

複数の都道府県に施設を展開していて一括で申請を出す場合は予め市区町村単位から県内と合計額をまとめておかなければ実績作成のときにとても手間取りますのでしっかりと準備しておきましょう。

その他提出書類について

処遇改善加算実績報告書を提出する時には他にも提出が必要な資料があります。

基本的には実績報告書の記載内容を証明するためのものとなります。

ここではその書類と経験上代用が可能だった資料を紹介します。

実績報告書と共に必要な資料

  • 期間中の勤務実績
  • 職員の給与明細
  • 給与台帳
  • 法定福利費データ
  • 賃金支給総額内訳書(各保険者独自書式)

期間中の勤務実績は職員の職種と実際に勤務していたことを証明するための資料となります。

しかし複数施設運営している法人が一括で処遇改善加算の実績報告書を作成する場合、すべての施設のシフト表や勤務実績を提出するのは大変です。

代替資料として、給与支給データと職種などが含まれた勤務実績データをまとめて作成しておけばこれ一つで1~3すべてを賄う代替資料として使用できます。

要は、処遇改善手当が支給された月に受給できる職種として施設に勤務した実績があり給与が支払われていることを証明するための資料です。

法定福利費会社負担分を集計した4は法定福利費に該当する項目の金額を集計したExcelデータなどを作成し資料として添付します。

賃金支給総額内訳書は、各保険者が実績報告書とともに提出を求めてくる書類です。

これは、保険者が独自のフォーマットで作成していることが多く他の市町村に流用できないため極めて面倒な書類です。

しっかりと集計していれば簡単に作成できますが基本的にそれぞれの保険者のフォーマット以外のものを使用して提出すると再提出を求められることがほとんどです。

二度手間になるので事前にそれぞれの保険者のフォーマットを準備するようにしてください。

提出後の保険者対応

実績報告書を受け取った保険者は確認作業に入ります。

保険者によりますが、早ければ当月内に、遅ければ数ヶ月後に確認しているようです。

一部の市区町村では忘れた頃に問い合わせが来ることがあり驚きます。

保険者にもよりますが、まずは期日に実績報告書が届いたかどうかをチェックし中身は後日確認するという流れになっていることが多いです。

確認してくる保険者の担当者さんにはおかしなことを言ってくる人も居るので注意が必要です。

処遇改善加算実績報告書対応の注意点

介護保険事業を行う上でのルールは『介護保険法』や『運営基準』などすべて文面として存在します。

この法律や基準を拡大解釈する人が行政担当者側にたくさんいます。(事業者側にも都合よく解釈する人がたくさんいます。)

基本は書いてあることそのままがルールと解釈していれば良いのです。

利用者サービス向上のためにという理由で特定の市などだけで基準が厳しくなっているというのはもう『ローカルルール』でしかありません。

法を元にした事業は通常どこに行っても同じルールである必要があります。

そこのところを事業者側も理解しておかなければ行政側に余計な労力をかけさせられることになるのでご注意ください。

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