運転が怖い?デイサービスの送迎が上達する方法

デイサービスの職員として介護施設で働き出すと、必ず必要になるのが送迎業務です。

わたしは、様々な施設で採用に関わりましたが、応募者に送迎が必須であることを確認すると「自信がない」と答える方がたくさんいました。

自宅では車に乗るけど、デイサービスの送迎での運転は怖い。

デイサービスの送迎については、おすすめのデイサービスの研修の一つです。

運転のコツなども踏まえて、少しでも不安を解消できるヒントをお伝えできればと思います。

デイサービスの送迎の役割

まず、デイサービスの送迎とはどのようなものでしょうか。

デイサービスには、自宅から施設まで自力で通うことができない利用者さんがたくさんいます。

それらの利用者さんを自宅まで迎えに行き、施設まで送り届けるのが送迎です。

送迎の手段は主に自動車ですが、『絶対に自動車で迎えに行かなければならないという訳ではありません。

利用者さんの自宅が近所の場合や、車では通れない場所にある場合は車椅子などで送迎に向かうこともあります。

しかし、自動車での送迎があることによって、利用者さんは広範囲のエリアの施設の中から自分が通いたい施設を探すことができています。

送迎担当者の役割について

デイサービスの送迎は、ただ利用者さんを施設に連れてきて、帰りに送り届けるだけではありません。

実はこの送迎がデイサービスの利用を円滑に進めるために非常に重要なサービスであり、施設と利用者さんのお互いが利用しやすい雰囲気を作るための最大のポイントです。

送迎を担当すると、利用者さんや家族と接点を持つことができます。

それにより、利用者さん本人からだけでなく、家族や関係者などからもその日の状態などを確認することができます。

例えば、「今日の体調はいかがですか?」などと聞くだけで、「足取りが重い」や「昨日ちょっと転んで」など、その方の当日の状況を知ることができる情報が手に入ります。

送迎立会の訪問ヘルパーさんなどがいる場合は、一言二言やりとりするだけで情報の共有ができるのでちょっとしたアセスメントになり得ます。

そして、なにより大切なことは、デイサービスの送迎を担当する人は、その利用者さんの1日の最初または最後に話をする相手となることがあります。

ここでのやりとりが利用者さんにとっても施設にとってもその日1日の価値を大きく変えることがあります。

車内の会話について

送迎で「車内がずっと無言だった」ということを平気で言っている職員はいませんか?

送迎の役割をしっかりと認識していればこんなことはあり得ませんよね。

そういう場合は、会話ができない雰囲気を作っている職員に問題があると考えられます。

送迎をサービスの一部と考えれば、一定の配慮のうえで日常的な話題や当日の様子など適度な会話を心掛けるだけでお互いがその日1日を気分良く過ごすことができるのではないでしょうか。

送迎をうまく使えば、施設内でのコミュニケーションが難しい利用者さんとも個別で話す機会として利用することができます。

送迎業務の不安を解消するポイント

高齢者の送迎には、常に交通事故や転倒事故などのリスクが伴います。

自動車の運転に交通事故というリスクが付き物である以上、そこからは逃れられません。

デイサービスの送迎業務に抵抗がある職員さんの殆どは、このリスクを恐れてのものです。

ですが、このリスクを理解していればリスクを最小限に抑えることが可能です。

例えば、新しい職員さんや、運転経験が浅い職員さんに、いきなり大型のワゴンを運転して、送迎業務を担当させる施設があります。

これは、もし事故が起こった時には会社や施設の名前が書いてある車での事故となりますので、大きなニュースになってしまう可能性だってあります。

実践経験が何より大切という観点からの業務でしょうが、不安な状態で急に業務にあたってしまうと、事故の元になってしまいます。

もし、このような理由で事故になったとするならば、確実に施設責任者の責任です。

また、リスクを全く感じずに、未経験でも送迎を積極的にやりたがる職員さんもいますが、それはそれで心配な面もあります。

しっかりとリスクを把握したうえで業務にあたることが介護業務の基本ではないでしょうか。

施設責任者がしっかりとその責任を果たしている施設であれば、不安を抱えている職員さんも、大丈夫です。

送迎中に起きる事故のほとんどは不注意によるものなので、しっかりと予防をしていれば防ぐことができます。

送迎中の事故やトラブルを防ぐポイントは次の2つです。

  1. 運転前後のチェック
  2. 交通ルールの遵守

送迎時の簡易チェック

デイサービスの送迎は主に自動車を使用します。

自動車を運転するにあたり、事前に確認しておくべきことや送迎中の注意事項をしっかりと確認しておくとリスクを回避することができます。

主に、車を安全に運転できる状態であるかどうかのチェックですが、更に介助者として適切かどうかのチェックも加えています。

安全確認のチェックとポイント

次の確認項目と、ポイントは送迎を担当する職員さんに対して常に確認しておいた方が良いものです。

  1. 運転手の健康状態は適切ですか → 飲酒、睡眠不足、著しい体調不良、病気などの有無
  2. 車輛点検をしていますか → 定期点検だけでなく、送迎乗車前、送迎降車後など、日常点検が必要
  3. 基本的な交通ルールの認識に間違いはありませんか → 信号、速度、停止線、一方通行、駐車禁止など
  4. 適正な送迎ルートの確立ができていますか → 交通量、安全、所要時間を考慮する
  5. 車内で利用者の見守りができていますか → 送迎中にも体調急変など発生する可能性がある
  6. 乗降車時に責任を持った介助をしていますか → 適切な介護支援ができているか
  7. 送迎到着時の受け入れ、送り出しの体制が共有できていますか → 人任せにしていないか
  8. 降車時に情報を他の職員などと共有していますか → 申し送り、情報共有できているか

最近、特に気になるのが乗降車時の介助についてです。

自動車の性能が上がり、介護施設が使用する車にも自動開閉できる車種が増えてきました。

そこで増えてきたのが、職員が運転席から自動でドアを開け、利用者さんを自分ひとりで乗降車させるという事例です。

これはとても危険です。

利用者さんが自分でできると言ったのかもしれません。

しかし、利用者さんが降りる時に転倒することだってあります。

または停車したあと、降車しているところに自転車やバイクが突っ込んでくることは考えられないでしょうか。

おそらく自動車教習所で当たり前のように習うケースだと思うのですが、このような危険な送迎をしているという話をよく聞きます。

送迎と言っても、タクシーではありません。

施設として、自宅までトラブル無く送り届ける責任がありますので、しっかりと、ミーティングなどで共有し、これらの行為は禁止しておくことをおすすめします。

送迎時の注意点

送迎時の注意点を乗車、走行中、降車に分けてまとめてみました。

乗車時の注意点

  1. 運転者は必ず降車し、周囲の安全を確認する
  2. 利用者さんの体調や状態を確認する → 声かけをしての確認や、顔色や足取りなどを確認
  3. 乗車時は荷物や杖等を預かり、手をフリーにした状態で手摺に誘導するなど安全に配慮する
  4. 車内に誘導してから着座するまで手摺や持ち手を持つようにする
  5. 段差昇降時にはステップ台等を使用し、無理の無い乗車方法にする
  6. 介助者は利用者さんの側部から介助する → 状況に応じて1人で対応するか、他の介助をつける等を検討する
  7. シートベルトを着用する → 拒否する場合でも、事故の危険性を伝えるなどの声かけし着用

走行中の注意点

  1. 利用者さんの状態を視認または声かけにて確認する
  2. 長時間無言になる状況を作り出さないように心がける
  3. 急変時は即座に対応できるように、常に備えておく
  4. 運転時は大きな揺れや振動などの衝撃が起きないように心がける

降車時の注意点

  1. 運転者は最初に降車し、利用者さんには周囲の安全確認できるまで車内で待機してもらう
  2. 利用者さんの判断ではなく、運転者または添乗職員がドアを開ける
  3. 利用者さんの状態に応じ、適切な降車方法を覚えておく
  4. 段差に注意し、必要な場合はステップ台等を使用する
  5. 転倒などに十分に注意し、手摺を持つなど安全に配慮する

ここでの大切なポイントは、周囲の安全確認をしっかりとしてから乗降車するということと、介助は横からということです。

特に、手引き介助が必要な利用者さんに対する乗降車介助には注意が必要です。

手引きのまま先に職員が車に乗り込んでしまうと膝が崩れた場合や、踏み外しへの対応ができません。

そうならないように乗る前に手すり等に持ち替えさせてから横からサポートするのが良いでしょう。

意外な送迎時のトラブル

送迎車には施設名が書いてあることがほとんどです。

また、職員のユニフォームなどにも施設名が書いてあるので、立場上クレームの標的になりやすいこともデイサービスの送迎時のトラブルの一因となっているのも事実です。そんなトラブルの中からよく起こるトラブルは次の通りです。

起こりやすいトラブルとその原因は次の通りです。

  1. 不適切な運転によるトラブル → 歩行者や自転車、バイク等が近くにいる時は特に注意する
  2. 駐停車のトラブル → 利用者宅や施設前に停める時などは通行の妨げにならないよう特に注意する
  3. 送迎中の『音』に関するトラブル → 声やドアを閉める音などの大きさに注意する
  4. 近所との関係に関するトラブル → 普段から利用者宅や施設の近所などには配慮をしてください

個人的に体験したトラブルで印象に残っているのは、送迎で利用者さん宅の土地に車を停めて乗降介助をしていたら近所の人がいきり立って「邪魔だ」と怒鳴ってきたことと、ワゴン車で狭い道路を通行しているときに対向で侵入してきた車が止まって動いてくれなくなり、プンプンしながら降りてきた運転手がちょっと怖い感じのおじさんだったことです。

わたしの場合は、どちらの場合も利用者さん達が車内から相手を一喝するなどしたため一瞬で片付きましたが・・。

特に土地の方はそのあたり一帯が利用者さんの持ち物だったみたいで、「追い出すぞ」の一言で終わりました。

自分に全く非が無くても、なぜかイライラしている人が居てトラブルに巻き込まれることがあるので、そういった場合に備えて報告連絡などの対応準備は揃えておきましょう!

信頼を寄せてくれている利用者さんは、最大限護る気持ちがあれば、利用者さんも色々と協力してくれるものです。

抑えておくべき交通ルール

介護施設の送迎車で運転マナーの悪い車が最近増えているように感じます。

送迎専用のおじさんドライバーが増えたことも一因としてありそうです。

これらのドライバーは送迎だけのために雇われ、送迎にしか携わりませんので著しく利用者への配慮に欠ける場合があります。

また、年齢的にも反射神経等だけでなく、柔軟な対応が難しいこともあります。

運転は、その人の性格が現れるものですので、がさつな人、せっかちな人、横柄な人は採用しない方が良いです。

最低限の交通ルールは正しく認識し、ルールを守った走行をしましょう。

送迎業務の中で、特に多い交通違反は次の通りです。

  1. 駐車禁止
  2. 速度違反
  3. 信号無視
  4. 一時停止無視
  5. 歩行者専用道路通行
  6. 指定方向進入禁止

この中で特に問題となることが多いのが『駐禁』です。

利用者を迎えに行く間に停めていた場所で駐禁を切られたという話はよくあります。それだけでなく、送迎中の違反は業務を伴うものだから罰金負担を会社持ちにしてくれなどという人もちらほら。

そのような場所に送迎に行く必要がある場合は、添乗職員を付けるなどの対応が必要です。

介護施設の車(福祉車両や高齢者の送迎をしていますを掲示した車)は違反の取締を受けないという都市伝説が一部の介護職員に広まっているようですが、根拠の無いデマですので当然のように取り締まりを受けます。

ですが、例えば、歩行者専用道路にあたる道路を通行する場合、事前に警察に申請しておけば通行の正当性が認められれば通行証が発行されるので解決できます。

高齢者施設の送迎で、どうしてもその場に停める必要がある場合や、走行が必要であると考えられる場合は、管轄の警察署に相談することをおすすめします。

そうすれば、適切な対処の方法を教えてもらうことができるので、トラブルを未然に防ぐことができます。

結局、違反は知らないことも含めて自己責任としか言えません。

自己判断やデマを信じるのではなく、まずは施設として警察署に相談することがベストです。

送迎前後のチェック事項

車の運転をする前には毎回しっかりと確認をしておくことがあります。

どうしても車のメンテナンス事項を全てチェックする時間が無い場合でもできる簡単チェック項目を紹介します。

車の外周を周り確認していくだけで、2分もかからないので是非やってみてください。

運転前簡易チェック

  1. 周囲に動物はいないか
  2. 駐車場内から出口にかけて危険物(釘やガラスなど)は無いか
  3. タイヤの空気圧
  4. タイヤに異物が刺さっていないか(釘や石など)
  5. 車体の傷や凹みなど
  6. ガソリンの残量

デイサービスの送迎車は複数の職員が共有して使用しますので、特に車体の傷や凹みは乗車前にチェックしておきましょう。

これは、発見が遅れると、事故を起こしたのが誰かわからなくなるだけでなく、犯人探しが始まった場合に自分がやったという話にされかねないためです。

車両の傷や凹みに関するトラブルは施設内で頻繁に起こることです。

当てた当事者が素直に報告しないために起こることですので、それを防ぐためにも乗車前チェックは必須です。

降車時簡易チェック

車内の忘れ物の確認は毎回行うのが基本です。

降りる時には車内をチェックしてからにしましょう。

  1. 車内に落とし物や忘れ物が無いかを確認
  2. ガソリンの残量
  3. 車の傷や凹み
  4. タイヤの空気圧と異物の確認
  5. 駐車枠に収まっているか

また、駐車場を借りている場合は隣とのトラブルを避けるためにもしっかりと枠内に収まっていることを確認しておく必要があります。

特に、大きい車の場合はトラブルの原因になりやすいので予防のために注意しておきましょう。

トラブルになりそうな車が隣にいる場合は、駐車場の場所を変えてもらうなど、トラブルを避ける工夫をすることも必要です。

さいごに

送迎は、リスクはありますが利用者さんのためになり喜んでもらえるサービスの一つです。

利用者さんが、安全に自宅に帰れるように責任を持って送迎を行うことが職員の責任となります。

これは、そんなに難しいことではなく、『交通ルールを守ること』、『介助の基本を忘れずにすること』、『自動車のチェックを行うこと』、『ルートを熟知すること』の主に4つのことを理解して取り組めば大丈夫です。

もし、不安なときは先輩職員や施設管理者に同行してもらいましょう。

送迎ルートを熟知することは、適切な大きさの車を選んだり、危ない場所がわかるようになります。

少し時間を作って何回も下見しておくことが、送迎のリスクを減らして、不安を解消するためのもっとも大切ことであり、上達するための裏技です。

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