デイサービスの送迎がわかる

デイサービスの送迎とは

デイサービスの送迎は、ただ利用者さんを施設に連れてきて、帰りに送り届けるだけのものでしょうか。実はこの送迎というものはデイサービスの運用を円滑に進めるために非常に重要なサービスであり、施設と利用者さんのお互いが利用しやすい雰囲気を作るための最大のポイントです。

送迎の役割

送迎で利用者や家族と接点を持つことができると利用者さん本人からだけでなく、家族や関係者などからもその日の状態などを確認することができます。例えば、「今日の体調はいかがですか?」などと聞くだけで、「足取りが重い」や「昨日ちょっと転んで」など、その方の当日の状況を知ることができる情報が手に入ります。その場に家族以外に送迎立会の訪問ヘルパーさんなどがいる場合は一言二言やりとりするだけで情報の共有ができるのでちょっとしたアセスメントになり得ます。

そして、なにより大切なことは、デイサービスの送迎を担当する人は、その利用者さんの1日の最初または最後に話をするので、ここでのやりとりが利用者さんにとっても、施設にとっても1日に大きな影響を与えます。

会話

送迎で「社内がずっと無言だった」ということを平気で言っている職員はいませんか?送迎の役割をしっかりと認識していればこんなことはあり得ませんよね。そういう場合は、会話ができない雰囲気を作っている職員に問題があるのではないでしょうか。送迎をサービスの一部と考えていれば、一定の配慮のうえで日常的な話題や当日の様子など適度な会話を心掛けるだけでその日1日を気分良く過ごすことができるのではないでしょうか。

送迎をうまく使えば、施設内でのコミュニケーションが難しい利用者さんとも個別で話す機会として利用することができます。

安全とリスク

デイサービスの中で送迎は交通事故や転倒事故などのリスクが常に伴うサービスです。しかし、事故のほとんどが不注意によるものなのでしっかりと予防をしていれば防ぐこともできます。

自動車による送迎時の簡易チェック事項

デイサービスの送迎は主に自動車を使用します。自動車を運転するにあたり、事前に確認しておくべきことや送迎中の注意事項をしっかりと確認しておくとリスクを回避することができます。これらは送迎に関する研修の中でも使っている項目の一部ですので確認してみてください。

安全確認チェック

  1. 運転手の健康状態は適切ですか → 飲酒、睡眠不足、著しい体調不良、病気などの有無
  2. 車輛点検をしていますか → 定期点検だけでなく、送迎乗車前、送迎降車後など、日常点検が必要
  3. 基本的な交通ルールの認識に間違いはありませんか → 信号、速度、停止線、一方通行、駐車禁止など
  4. 適正な送迎ルートの確立ができていますか → 交通量、安全、所要時間を考慮する
  5. 車内で利用者の見守りができていますか → 送迎中にも体調急変など発生する可能性がある
  6. 乗降車時に責任を持った介助をしていますか → 適切な介護支援ができているか
  7. 送迎到着時の受け入れ、送り出しの体制が共有できていますか → 人任せにしていないか
  8. 降車時に情報を他の職員などと共有していますか → 特記がある場合に申し送り、情報共有できているか

最近、特に気になるのが乗降車時の介助についてです。

自動車の性能が上がり、介護施設が使用する車にも自動開閉できる車種が増えてきました。そこで増えてきたのが、職員が運転席から自動でドアを開け、利用者さんを自分ひとりで乗降車させるという事例です。

これはとても危険です。

利用者さんが自分でできると言ったのかもしれませんが、この時に転倒した場合、または停車し、降車しているところに自転車やバイクが突っ込んでくることは考えられないでしょうか。おそらく自動車教習所で当たり前のように習うケースだと思うのですが、このような危険な送迎をしているという話をよく聞きます。

しっかりと、ミーティングなどで共有し、これらの行為は禁止しておくことをおすすめします。

送迎時の注意点

送迎時の注意点を乗車、走行中、降車に分けてまとめてみました。

乗車時の注意点

  1. 運転者は必ず降車し、周囲の安全を確認する
  2. 利用者さんの体調や状態を確認する → 声かけをしての確認や、顔色や足取りなどを確認
  3. 乗車時は荷物や杖等を預かり、手をフリーにした状態で手摺に誘導するなど安全に配慮する
  4. 車内に誘導してから着座するまで手摺や持ち手を持つようにする
  5. 段差昇降時にはステップ台等を使用し、無理の無い乗車方法にする
  6. 介助者は利用者さんの側部から介助する → 状況に応じて1人で対応するか、他の介助をつける等を検討する
  7. シートベルトを着用する → 拒否する場合でも、事故の危険性を伝えるなどの声かけし着用

走行中の注意点

  1. 利用者さんの状態を視認または声かけにて確認する
  2. 長時間無言になる状況を作り出さないように心がける
  3. 急変時は即座に対応できるように、常に備えておく
  4. 運転時は大きな揺れや振動などの衝撃が起きないように心がける

降車時の注意点

  1. 運転者は最初に降車し、利用者さんには周囲の安全確認できるまで車内で待機してもらう
  2. 利用者さんの判断ではなく、運転者または添乗職員がドアを開ける
  3. 利用者さんの状態に応じ、適切な降車方法を覚えておく
  4. 段差に注意し、必要な場合はステップ台等を使用する
  5. 転倒などに十分に注意し、手摺を持つなど安全に配慮する

ここでの大切なポイントは、周囲の安全確認をしっかりとしてから乗降車するということと、介助は横からということです。特に、手引き介助が必要な利用者さんに対する乗降車介助には注意が必要です。手引きのまま先に職員が車に乗り込んでしまうと膝が崩れた場合や、踏み外しへの対応ができません。そうならないように乗る前に手すり等に持ち替えさせてから横からサポートするのが良いでしょう。

抑えておくべき交通ルール

介護施設の車(福祉車両や高齢者の送迎をしていますを掲示した車)は違反の取締を受けないという都市伝説が一部の介護職員に広まっているようですが、根拠が無いデマですので当然のように取締を受けます。最低限の交通ルールはしっかりと認識し、ルールを守った走行をしましょう。

特に多い送迎中の違反

  1. 駐車禁止
  2. 速度違反
  3. 信号無視
  4. 一時停止無視
  5. 歩行者専用道路通行
  6. 指定方向進入禁止

介護施設の送迎車で運転マナーの悪い車が最近増えているように感じます。送迎専用のおじさんドライバーが増えたことも一因としてありそうです。これらのドライバーは送迎だけのために雇われ、送迎にしか携わりませんので著しく利用者への配慮に欠ける場合があります。また、年齢的にも反射神経等だけでなく、柔軟な対応が難しかったりすることも原因となっています。やはり運転は性格が現れるものですので、がさつな人、せっかちな人、横柄な人は採用しない方が良いです。

この中で特に問題となることが多いのが『駐禁』です。利用者を迎えに行く間に停めていた場所で駐禁を切られたという話はよくあります。それだけでなく、送迎中の違反は業務を伴うものだから罰金負担を会社持ちにしてくれなどという人もちらほら。

そのような場所に送迎に行く必要がある場合は、添乗職員を付けるなどの対応が必要です。また、歩行者専用道路にあたる道路を通行する場合に関しても事前に警察に申請しておけば通行の正当性が認められれば通行証が発行されるので解決できます。

結局、違反は知らないことも含めて自己責任としか言えません。

送迎前後のチェック事項

車の運転をする前には毎回しっかりと確認をしておくことがあります。どうしても車のメンテナンス事項を全てチェックする時間が無い場合でもできる簡単チェック項目を紹介します。車の外周を周り確認していくだけで、2分かからないので是非やってみてください。

2分でできる運転前簡易チェック

  1. 周囲に動物はいないか
  2. 駐車場内から出口にかけて危険物(釘やガラスなど)は無いか
  3. タイヤの空気圧
  4. タイヤに異物が刺さっていないか(釘や石など)
  5. 車体の傷や凹みなど
  6. ガソリンの残量

デイサービスの送迎車は複数の職員が共有して使用しますので、特に車体の傷や凹みは乗車前にチェックしておきましょう。これは、発見が遅れると、事故を起こしたのが誰かわからなくなるだけでなく、犯人探しが始まった場合に自分がやったという話にされかねないためです。車両の傷や凹みに関するトラブルは施設内で頻繁に起こることです。当てた当事者が素直に報告しないために起こることですので、それを防ぐためにも乗車前チェックは必須です。

2分でできる降車時簡易チェック

  1. 車内に落とし物や忘れ物が無いかを確認
  2. ガソリンの残量
  3. 車の傷や凹み
  4. タイヤの空気圧と異物の確認
  5. 駐車枠に収まっているか

車内の忘れ物の確認は毎回行うのが基本です。降りる時には車内をチェックしてからにしましょう。また、駐車場を借りている場合は隣とのトラブルを避けるためにもしっかりと枠内に収まっていることを確認しておく必要があります。特に、大きい車の場合はトラブルの原因になりやすいので予防のために注意しておきましょう。ややこしい人が隣にいる場合は、駐車場の場所を変えてもらうなど、トラブルを避ける工夫をすることも必要です。

よくある送迎時のトラブル

送迎車には施設名が書いてあることがほとんどです。また、職員のユニフォームなどにも施設名が書いてあるので、立場上クレームの標的になりやすいこともデイサービスの送迎時のトラブルの一因となっているのも事実です。そんなトラブルの中からよく起こるトラブルは次の通りです。

起こりやすいトラブルとその原因

  1. 不適切な運転によるトラブル → 歩行者や自転車、バイク等が近くにいる時は特に注意する
  2. 駐停車のトラブル → 利用者宅や施設前に停める時などは通行の妨げにならないよう特に注意する
  3. 送迎中の『音』に関するトラブル → 声やドアを閉める音などの大きさに注意する
  4. 近所との関係に関するトラブル → 普段から利用者宅や施設の近所などには配慮をしてください

個人的に体験したトラブルで印象に残っているのは、送迎で利用者さん宅の土地に車を停めて乗降介助をしていたら近所の人がいきり立って「邪魔だ」と怒鳴ってきたことと、ワゴン車で狭い道路を通行しているときに対向で侵入してきた車が止まって動いてくれなくなり、プンプンで降りてきた運転手がちょっと怖い感じのおじさんだったことです。

わたしの場合は、どちらの場合も利用者さん達が車内から相手を一喝するなどしたため一瞬で片付きましたが・・。特に土地の方はそのあたり一帯が利用者さんの持ち物だったみたいで、「住めなくするぞ」の一言で終わりました。

自分に全く非が無くても、なぜかイライラしている人が居てトラブルに巻き込まれることがあるので、そういった場合に備えて報告連絡などの対応準備は揃えておきましょう!

信頼を寄せてくれている利用者さんは、最大限護る気持ちがあれば、利用者さんも色々と協力してくれるものです。

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適正な運営ができていなければ、せっかく積み上げてきた施設の実績が失われるだけでなく、営業停止になってしまう恐れも。

職員さんは勿論、利用者さんの行き場を無くさないようにするためにも、困ったことがあればご相談ください。

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