介護の働き方改革で離職しない職場作りをしよう

働き方改革が始まりました。

労働者の労働時間や休暇について規制することで、労働者の心身の健康を維持し、過労死やうつ病を無くそうというものです。

新たに有給休暇の取得や残業規制のルールができました。

では、働き方改革の本質はどのようなものなのでしょうか。

※この記事は、4月18日に一部内容を最新の情報に更新しています。

働き方改革の本当の目的

 

流星
働き方改革が始まりましたね。あなたの会社ではどうなりましたか?
職員A
働き方改革が始まったせいで、会社から残業禁止を言い渡されて困ってるんです。
もちろん、わたしも早く帰りたいのですが、みんなが定時に帰ってしまうとその日の仕事が終わりません。しかも有給休暇まで取得しないといけないなんて、そんな人ばかりいると事業所が運営できなくなってしまいますよ…。
流星
介護サービスの事業所はどこも人手不足の状況ですね。書類などの作成に時間がかかるものも多くて、利用者さんが居る間はできないから提供時間外に記録類の作成をしている人はたくさんいますね。作業ができる時間帯が限られているからどうしても残業するしかなくなっているんですね。
流星
実は今回の働き方改革が進められた要因の一つとして、Aさんが言ったような『残業ありきの仕事のあり方』が課題になっているんです。
職員A
残業ありきの仕事のあり方ですか?
流星
はい。
実は、働き方改革の本当の目的は『労働生産性の向上』です。
職員A
労働生産性ってなんですか?
流星
労働生産性は、『労働者1人あたりが生み出す成果』をはかる指標です。
一般的な計算方法としては次のようになります。労働生産性=労働による成果(売上や利益)÷労働投入量(時間あたりの労働量または従業員数)
職員A
うちの介護サービス事業所の先月の売上が400万円でした。
従業員は、わたしを含めて5名です。
そうすると、1人あたり80万円売上を作っているということですね!
流星
単純に計算するとそのようになりますね。介護事業所では労働生産性の話はあまり出ないかと思いますが、労働効率と言った方がわかりやすいかもしれません。売上や利益を少ない人数で生み出すことができれば生産性は高まります。
同じ人数で変わらないのであれば、一人あたりの売上を伸ばすことが事業の生産性を高めることに繋がるのですが、日本はこれが海外の主要先進国に比べて著しく低いのです。
流星
その最大の原因が、さっき言ったような、残業ありきで働く日本の働き方なのです。
日本は昭和から平成にかけて働いてきた方からの慣習もあり、報連相を大切にします。この報連相をするために準備する時間や無駄に長い会議の時間や会議資料を作るために装飾にかける時間なども労働生産性を低くする要因になります。
介護の業務に関連して言えば、記録類もその一つです。これは事業のために必要なものですが、そもそも効率の悪いことをさせるルールを作っている介護保険法や行政の慣習にも問題があります。
職員A
たしかにそれが全部無くなれば仕事は早く終わりますね!
だけど、無くすわけにいかない場合はどうすればいいのですか?
流星
現実的に、国で決められた方法を一般事業所が勝手に変えることはできないので、いかに簡単にその作業をできるか、そこに時間をかけなくて良いようにするかがポイントです。
流星
例えば、介護サービス提供にあたって必要な提供記録や勤怠状況の管理が請求に紐付いた形で管理できれば別々に作業していたものが1つの作業でできるから簡単になりますよね。
職員A
今はそれぞれをバラバラのエクセルシートを使って管理していて毎回かなりの時間がかかっています。
流星
タブレットやスマホを利用して外出先でも記録を同期できるツールが増えてきました。
職員A
最近の介護ソフトって一気に進歩しましたよね。
デジタルに弱い人間だったら覚えるまでに時間がかかりそうですね。
流星

確かに、最近の介護ソフトはスマホやタブレットとPCが連結していて簡単な方法で情報が様々な書式に合わせて自動入力されていくものが多くなりました。

介護の働き方改革の主役は、実はこのような介護ソフトになります。

働き方改革で決められたルールを守るために、業務を効率化できる介護ソフトを導入して、同じことを何度も書かないといけない書類を一気に整理!

それに職員の残業も減らせて一石二鳥!といったことができるようにするのが生産性を高めるという本来の働き方改革の目的に沿ったものになるということです。

職員A
2020年の東京オリンピックに向けて、海外に倣えをゴリ押ししている感はありますが、業務が楽になることはとてもありがたいことですね。

働き方改革の要点について

今回の働き方改革で2019年4月1日から変わったことは主に次の通りです。

  1. 時間外労働(残業)の罰則付き上限規制
  2. 年次有給休暇の取得義務化
  3. 同一労働同一賃金(2020年4月〜)
流星
1と2については、大企業とその他で適用時期が異なります。大企業は2019年4月から施行ですが、中小企業に分類される企業では、2020年4月からの適用となります。中小企業は、厚労省の助成金などをうまくつかいながら適用できるように体制を整備していく必要がありそうです。
職員A
なんか色々大変そうですね。実現できて仕事がまわれば嬉しいことだけど、実際こんなことができるのでしょうか。とても心配です。
流星
簡単に説明していきますね。

時間外労働(残業)の罰則付き上限規制のポイント

残業時間の上限は、月45時間・年360時間まで。

最長でも、年720時間までとなり、特別な事情がなければこれを超えることはできません。

月の上限残業時間は長くても45時間までとしておきましょう。

45時間を超えることができるのは年6回以下にしなければなりませんが、それでも月100時間未満を絶対厳守です。

また、2~6ヶ月の平均が月80時間以内に抑えることも必要です。

月の勤務日数が21日の場合、残業できる時間は、約2時間までとなります。

※この規制を守らなかった場合は、6箇月以下の懲役または30万円以下の罰金が課せられます。(【参考】厚生労働省-働き方改革特設サイト

職員A
うちの会社では反発が多数ありました。ちゃんと実現できるのかが今でも不安です。
残業ありきで仕事しているので、シフトも残業ありきのシフトになってしまっています。コレを解消するためには人を雇うしか無い…。ますます経営が苦しくなるので難しいですね。

年次有給休暇の取得義務化について

企業は、法定の有給休暇日数が10日以上あるすべての労働者に対して、毎年5日の有給休暇を取得させる義務ができました。

有給休暇の取得義務化の背景には、日本の有給休暇取得率53%を70%まで引き上げたい政府の狙いがあります。

一部の大手上場企業では有給休暇消化率が90%以上だったりしますが、中小企業を含めると53%程度まで急落します。なぜなら、中小企業の有給休暇消化率は30%未満というデータも存在します。

すべての労働者の中には、有給休暇が付与されている非正規社員(パートなど)も含まれます。

ただし、これは企業側が有給休暇の取得時季を指定して取得させるものです。

そのため、企業側だけの都合で強制取得させることや、労働者が自由に取得するものではなく、企業側が取得させる時季を指定し、労働者と相談して決める必要があります。

また、労働者が自らの申請で取得した日数分は、企業側が指定する5日間から差し引かれるので、すでに5日以上の有給休暇を取得している従業員は、このルールの対象にはなりません。

労働者側も企業側も、年5日有給休暇を取得できていない労働者に対し取得を促すようにしましょう。

職員A
この年次有給休暇の取得義務はかなり注目されていますね。
ひどい企業だと、夏季休暇や年末年始休暇を有給休暇に充てて消化させようと検討しているところもあると聞いたことがあります。
流星
そのとおり!
働き方改革で一番注目されているところではないでしょうか。このルールには罰則があります。
罰則は次の通りです。守れなかった人数×30万円=罰則金額この罰則を避けるために、夏季休暇とか年末年始、もしくは土日や祝日を出勤扱いにしたうえで、有給休暇を取得させ休みにするという話もありましたね。そうしたグレーな逃げ道を探る企業は、ずる賢いですが従業員のことを考えているのかが疑問になりますね。勤務先などで心当たりがある場合は注意が必要です。

同一労働同一賃金のポイント

正規雇用者(正社員)と非正規雇用者(パートや派遣)の不合理な待遇差を解消するための整備が進められます。

同一企業内において、基本給や賞与に正社員とパートで不合理な待遇差をつけることが禁止されます。

例えば、正社員とパートが同じ責任範囲で同一業務を行っている場合、時間給基準にした時に金額差が大きい場合や、賞与の有無についても待遇差があると判断されてしまう可能性があります。

2020年の施行に向けて、2019年のうちに体制を整備しましょう。この1年で、非正規雇用と正規雇用の職責や職務範囲に明確な差をつけ、評価の仕組みまで整備しておく必要があります。

介護に働き方改革は関係あるの?

流星

働き方改革は、介護業界にも大きな影響を与えます。

これは、介護サービスが企業によって運営されているものなので、どうしても避けることができません。

大企業に分類される企業が運営する介護サービス事業所に勤務する職員は、2019年4月1日から。その他の企業は、2020年4月1日から働き方改革がはじまります。

月の残業時間が60時間程度ある場合や、有給休暇が取得できない状況にある企業は、大きく変える必要があります。

働き方改革では、1人でもルールを守れていなければ、法人が処罰を受けます。企業に所属する従業員全員がルールを守ることが求められるのです。

働き方改革は新たな労働価値観構築になるの?

流星
日本では、戦後の高度成長期に人口が増え、生活水準の上昇に伴うモノの需要と供給を満たすために生産競争が起こりました。需要を満たすために労働が生まれ、その結果、『働く人の時間=給料』という現在の一般的な考え方が定着しました。これは特に、ライン製造での成果が大きく、日本の製造業が大きく発展する要因の1つとなりましたが、バブル崩壊すると、経済が下降しはじめました。そうすると、企業は業績が上がらなくなり、コストカットに走ります。この頃から企業にとって『時間=給料』という考え方が障害となりはじめました。

成果主義がブラック企業の原点

経営に苦しむ企業はコストカット手段として欧米型の成果主義を推進し始めたのがこの頃です。

だけど、その実態は、言葉先行で取り入れられた日本版の成果主義で、その中身は、無理な評価と給与体系が取り入れられた働いても給与が上がらない仕組みだったのです。

グレーな成果給とブラック企業思考

評価される成果が明確ではないのに、給与の構成の大半が成果給となっていたりしませんか?

単順に成果給を取り入れただけの企業では、成果を得るために必要な時間は評価されなくなりました。

その結果、労働時間は変わらず、給与だけが下がったという労働トラブルが増えていきました。

そして、このような成果の概念を悪用する会社はブラック企業と揶揄されるようになったのです。

会社や事業所に次のようなことを平気で言っている人はいませんか?または言わなくても明らかにそういう考えをしているという人はいませんか?

もう時代遅れですし、今後は会社にとっても迷惑な思考になっていきそうです。

抜け切らない昭和のブラック思考3選

  • 会社にいる時間が労働量だ!
  • 長時間労働は美徳だ!
  • 成果を出すためには長時間働くべきだ!
職員A
こんな昭和の考え方が、違法残業や長時間労働による過労死とか自殺を生んでいるんですよね。
働き方改革が強く言われるようになったのも、電○さんの女性社員が自殺した頃からですし、やっぱり考えていかないといけないですよね。それは会社側だけじゃなくて、働くわたし達自身も色々知っておく必要がありそうですね。
流星

それが、働き方改革の必要性ですね!

これからの時代は、企業もますます淘汰されます。
新たな雇用がむずかしい今、改めて従業員を会社の財産・資源と捉え、既存の従業員を長く働けるように方向転換が進んでいます。

ですが、日本の人口は減少しているので、企業は発展に必要な労働力を求めたくても、優秀な若者を確保することができない状況に陥ってきました。そうすると、労働環境に問題がある企業には良い人材が入ってくる可能性が大きく下がってしまうのです。

 

働き方改革でわたし達の仕事はどうなる?

現実的に考えたとき、働き方改革でわたし達の介護の仕事はどうなっていくのでしょうか。

流星

これからの日本は、労働力の確保手段として、高齢者の雇用と定年の延長が進みます。

そして、高齢者も若い労働者と同等の業務を担う必要が出てくるかもしれません。

いまの日本では、長時間や不規則労働は従業員の心や体を蝕む結果となっていることは明確なので、皆がルールを守り、働きやすい会社を作っていくことができるのであれば働き方改革はとても良い政策なのかもしれません。

ただし、いいことばかりではありませんね。

時代に合わない考えで働いていると会社でも取り残されていってしまい、最後には職を失うことも出てくるかもしれませんよ。

働き方改革で給料が伸びなくなる人もいる

一般的に会社の給料は個人の評価を考慮したものになっています。高い評価を得るためには、自分の成果を上げ続けなければなりません。

無制限に時間がある中で生産量を伸ばすには、時間をかければ良いだけです。

ですが、時間に限りがあるなかで以前同等、またはそれ以上に生産することを求められるとすれば、業務の見直し及び効率化、または仕組みが必要です。

工夫や努力ができない人は今後、いま以上のステップアップや昇給は難しくなるかもしれません。

今は、状況を変えていくことができる人が評価される時代が来てるんですよ。

職員A
それは気になりますね。気をつけなければ!

介護の働き方を邪魔するものとは

介護の働き方改革を邪魔すると考えられるものは、働く人の奉仕精神への期待です。

美談だけでは、働けません。

介護職員として働いている方の中には介護の3K(きつい・汚い・危険※関連記事:介護士が教える臭いの原因と対策に加えて低賃金を我慢しながら働いている方が多数いるのではないでしょうか。

嫌なことがあっても、「利用者様のためだから」と常に言われる教育ではありませんでしたか?

いまいちど、考えてみることが大切です。

  1. 奉仕精神が前提となったサービスて本当に正しい?
  2. 自分に被害があることでも、利用者のために我慢することは正しい?

 

流星

自分が利用者から何らかの被害があっても、「利用者のため」、「本当はそんな人じゃない」、「病気がそうさせている」と言われて終わってしまっていませんか?

このような言葉で片付けられる世界がおかしいと感じなくなってしまっていませんか?

そして、そのことが辛くて悩んでいませんか?

そもそも、人の幸せや喜びは、誰かの犠牲の上に成り立つものでありません。

誰かに何かをしてあげることに満足感を得られるのであれば問題ありません。しかし、そんな善人ばかりではないはずです。

自分を犠牲にして利用者に尽くしても何も生まれません。

そんな介護の世界でも、これから働き方を変えていかなければいけないのです。

利用者に合わせた介護では、利用者一人一人に対して24時間分サポートする介護職員が必要になってしまいます。

従業員を簡単に増やすことができない介護のこれからを支えていくためには、介護に携わる人の奉仕精神をあてにしたものではなく、しっかりと体系化、仕組み化された介護が必要になります。

働き方改革でできた時間の使い方は?

働き方改革が浸透してくると、残業時間などが短くなって時間ができてくると思います。

この時間で何をしようか、なぜか迷ってしまいます。

急に時間ができるようになるとそういうこともありますよね。そんなときは次のようなのはどうでしょうか。

  • 自分の体のケア
  • 自分の心のケア
  • 資格など新たなキャリアへの準備

働き方改革でできた時間を自分のケアに使う

日常の仕事、介護業務、家事で介護に携わる職員の体は傷んでいます。

毎日、腰や肩が凝って気持ち悪くなったりつらい思いをしていませんか?そんな時は思い切ってエステやマッサージに行ってみましょう。

機能訓練の時に整骨院に通っている利用者さんに対して、「マッサージは一時的なもので根本を改善するものではないですよ〜」といいますが、実は私たちも今すぐ楽になりたいという思いは同じです。

介助業務によって、腰痛などは身近な存在です。仕事をするためのコンディションを保つためにも、働き方改革で作れるようになったら、時間を自分のケアに当てても良いのではないでしょうか。

長く、働けるように。そして、長く好きな仕事をできるように。

エステやマッサージはリフレッシュできて、仕事にも打ち込めるようになると思います。

介護の仕事は自分の心のケアが大切です

流星

介護の仕事が好きで、悩んでいるけど続けていきたいはずです。

しかし、溜め込むだけでは精神状態が不安定になり、何らかの事故につながる可能性が高まってしまいます。どこかで吐き出すことができるような手段は必要です。

資格などを取りに行く

流星

介護業界で働くには、資格がとても重要になります。

持っている資格によって選択できる職種の幅が広がるだけでなく、給料のも手当等の差で大幅に増えるなど、確実にキャリアアップができます。

資格を持っていない方は、今後のキャリア設計のために、まずは介護福祉士を目指して頂けたらと思います!

流星
最後に、介護の働き方をチェックリストでまとめます。自分の職場の状況と照らし合わせて確認してみてくださいね。

介護の働き方改革チェックリスト

施設で働いていたらなかなかこういうことは教えて貰えないかもしれませんので、次を参考に大まかにチェックをしてください。

  1. 大企業(中小企業以外)か中小企業(資本金5000万円以下または従業員100人以下)か
  2. 10日以上有給休暇が残っているか
  3. 公休日が急に有給休暇扱いに変えられることになったりしていないか
  4. 残業時間は1日2時間以下か

特に3のようなやり方をする会社は良い会社とは言えません。会社の都合だけでこれが許されると、公休扱いの日(土日祝や、夏季休暇、年末年始など)がすべて有給休暇を勝手に当てられて消費されることになってしまいます。

もし、こんな会社であれば、働く人のことを考えない会社なので転職を考えた方がいいです。「他がある」と思えることは、心に大きな余裕を生みます。

同じ介護の仕事でも、職場によって環境の違いが大きいのは介護業界の特徴です。介護業界では有名なカイゴジョブの非公開求人も全国各地で募集があります。非公開求人にこそ良い職場が多数あります。

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